てをにぎろう!

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 中身ネタバレします。

 

作中の男の子は抜きんでた天才で、動物たちとおしゃべりができます。そんな男の子が、動物たちの話をもとに一風変わった物語を作ります。これがそのひとつ。

 


あるサーカス団のぶらんこ乗り夫婦のお話。

 

 

ふたりのぶらんこのりは
生まれてからずっと
空中で暮らしてきた。
勉強するのも、ご飯も、
ねむるのもずっとぶらんこに乗ったまま。
ふたりの結婚式ももちろん
テントのてっぺんでおこなわれた。
式の終わりに、
ふたりはタイミングを合わせて、
とてもやさしいキスを一度した。

さかさになった奥さんは
料理が上手。
旦那さんはサーカスが始まるまで
新聞を読んだりトランプ占いをしたり。

ある嵐の夜に、
さかさにぶらさがったおくさんは
心配そうに床の方を見上げ、
"今日は動物が騒ぎますねえ"と。

"きみ、寝付かれないのかね"
だんなさんの方も、
天井のねずみを見上げるみたいに、
おりの中のトラやくまに目をやった。

"嵐のせいでみんな不安なんだよ。高い高い、ぶらんこの上のわたしたちみたいに、安全じゃないからね。風が吹けば吹き飛ばされる、火事になれば黒こげに燃えちゃう"
"あなた、手をにぎってくださいな"
だんなさんは新聞をたたんで背筋を伸ばし、大きくぶらんこをゆらして奥さんのほうに振った。いちど手をにぎり、離れていき、また近づいてにぎり、そうして離れた。
"あなた。"
と、奥さんはさかさになったまま言う。
"わたしたちはずっと手を握ってることはできませんのね。"
"ぶらんこのりだからな。"
だんなさんはからだをしならせながら言う。
"ずっと揺れているのが運命さ。けどどうだい、少しだけでもこうして"
と手をにぎり、また離れながら
"おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、すてきなことと思うんだよ"
ひとばんじゅう、ぶらんこは繰り返し繰り返し行き来した。嵐が止んで、動物たちが静かにねむったあとも、ふたりのぶらんこのりは真っ暗闇の中で、なんども手を握り合っていた。

 

 

こんな素敵なお話を男の子は作るけれど、天才の宿命か、段々と孤独と恐怖を感じてしまう。ごく普通の生活を送る、お姉ちゃんに助けを求めながら。

 

 

どうぶつのこえ。なんだかこわい。こうていのぶらんこがぼくをのせたまま、くうちゅうにとまっちゃってるようなかんじなんだ。おねえちゃんはうしろからちゃんとぼくをみてくれてるんだろうか。

 

どうして寒いからさ、なんて断ったんだろう。あの冬のうち、一晩でもいっしょに過ごしてあげることが、なぜ、私にはできなかったんだろう。

 

あー、私のお気に入りの本!

中学生のときに初めて読んで以来、何年か毎にもう5回くらいは読んだのかな???

 

胸がきゅーーんってなる。

 

なぜか付箋とかつけてる。笑

 

結構兄弟ものが好き( ^ω^ )